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出版労連では、出版研究集会を開いています。
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2010年出版研究集会

      出版研究集会は,出版労連が毎年,開いています。
全体会
 今年は出版研究集会の全体会は持たず、
2010国民読書年6.12シンポジウム「ことばがひらく未来〜読もう、本と新聞を」
を全体会と位置づけてスタートしました。

分科会
 (1) 分科会1「出版の自由」
  日時:6月18日(金)18:30- 出版労連会議室
  パネリスト:烏賀陽弘道氏、黒藪哲哉氏(出版ネッツ)、風間 直樹氏(『週刊東洋経済』記者)

 (2) 分科会2「組合があって良かったと思う瞬間(とき)-フリーランスのユニオンの可能性」
  日時:6月24日(木)18:30- 出版労連会議室
  講師:水谷研次氏(東京都労働委員会・労働者委員)
  パネリスト:青谷充子氏(音楽ユニオン)、小林蓮実氏(インディユニオン)、広浜綾子(出版ネッツ)

 (3) 分科会3「どうなる出版流通」
  日時:6月25日(金)18:30- 文京シビックセンター3階会議室AB
  講師:諸山誠氏(『新文化』編集長)
  パネリスト:大井達夫氏(開隆堂労組/忍書房店長)、他

 (4) 分科会4「電子書籍の現状と未来」
  日時:7月2日(金)18:30- 出版労連会議室
  講師:落合早苗氏(株式会社hon.jp代表取締役社長)

 (5) 分科会5「変わる図書館-出版社との関係はどうなる」
  日時:7月6日(火)18:30- 文京シビックセンター
  講師:堀渡氏(国分寺市立図書館長)
  沢辺均氏(ポット出版代表)

6/12:“シンポジウム「ことばがひらく未来〜読もう、本と新聞を」”

6.12シンポの報告をします。

 豊(ゆたか)新聞労連委員長がまず「新聞の危機は経営の危機と同時に、権力の監視をするジャーナリズム=民主主義の危機である。ジャーナリズムを如何に活性化するのかが課題だ」と挨拶された。
 山根基世さんの朗読をはさんで、シンポ。

 落合恵子さん 何事にも光と影がある(電子書籍も同様)。両方から見ないと。二者択一では駄目。活字文化が滅びるときは活字メディアが自らのミッションを捨てたとき。「飢えに文学は役立つのか?格差の前に活字は」という危機感を持ち、人としてのミッションをもって生き延びよう。

 尾鍋文彦さん 紙(に印刷されたもの)には、知識を構造化・定着化させる力がある。電子書籍など紙以外ではストレスがあり、生理的違和感がある。活用も必要だが、電子より物理的実体のある紙のほうがよい。特に初期段階は紙が必要で、その点電子教科書は問題が多い。

 中村文孝さん 書店がどんどんつぶれている。委託制を見直す必要がある。書店が生き残るには、全ての新刊があるか、偏りの本屋しかない。本屋がこうなったのは、書店の産業化=効率化を取次(=出版社)をすすめたからであり、それを認めた書店も悪い。今売ろうと思う本は3割もない。

 山根基世さん 話し言葉を鍛えるためにも活字=紙が必要。電子書籍の可能性もあるが、人間の生理、書くことによって記憶するということがある。危機の今こそ原点に帰ろう。

 電子書籍元年(日本に紙が伝来して千四百年でもあるとのこと)のせいもあり、危機感に満ちた発言が多く、産業・仕事のこれからを考える刺激的なシンポでした。

(by 取次支部 I )
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6/18:第1分科会の報告

1回目の分科会が6/18の「出版の自由と裁判」でした。

 まず風間直樹さんがクリスタルに訴えられた経緯について報告。まだ偽装請負ということばさえなかった(闇派遣or違法派遣と)頃から調査報道した。必ず勝つと思っていたが、名誉毀損で訴えられると、書いた側が名誉毀損でないと証明しなければならず、情報源も秘匿しなければならず、大変である(事実一審では敗訴)。2審和解で完全勝利したが会社も自分も負担は大きい。その負担を考えると及び腰になりがち。名誉毀損はそういう効果を狙って訴えてくる。

 またいまインタビュー記事が編集権・著作権の兼合いで難しくなっていると話された。

 黒藪哲哉さんは「押し紙」をめぐる報道で読売に訴えられいくつかの裁判での勝利の報告をされた後、読売という大新聞に訴えられてもたたかい続けていることについて、ここで屈したら、今後自信を持って仕事が出来なくなるからだ、と。インタビューについては内容を相手に確認し、反論権を保障するということで裁判対策としていると話された。

 烏賀陽(うがや)弘道さんは、オリコンに訴えられたが、その負担はすさまじい。現在の法律では、オリコンのような名誉毀損の訴訟は食い止める事ができず、勝つのは奇跡に近い。アメリカではこのようなスラップに対する法律が作られていて、取材してきた。日本にもそのような法律が必要と話された。

 その後のシンポでは、大手の出版社はまだしも中小、フリーは厳しい/今後は個人が訴えられるようになり、大手といえども会社が当事者でないとなると厳しくなる。訴えた側は訴えたという事実がほしいだけだから/ などの名誉毀損裁判をめぐる議論と
 主にインタビューなどでの事前チェック要求について、裁判対策としてある程度必要という意見と絶対に駄目という意見が出た。いずれにせよ原稿あるいは地の文は絶対にまずい、会話ないし談話については内容確認するケースもあるのではないか、ということになった。

 最後にそれぞれ、業界も厳しいがひるんだら終わりだ、ナベツネを訴える、反スラップ法を作るまでがんばる、と決意を述べられて終了した。非常に興味深い分科会でした。

 以後の分科会にもぜひ参加ください。

(by 取次支部 I )
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6/24:第2分科会の報告

**[1]***********

昨日、出版研究集会・分科会2、「組合があって良かったと思う瞬間(とき) 〜フリーランスのユニオンの可能性〜」が開かれました。出版労連のA、B会議室をつなげ、後ろは机を取っ払ってイスだけ並べましたが、それでもぎりぎり、身動きできないほどの人が来てくれました。

出版労連の前田副委員長のあいさつで開会。まず、このかんトラブル相談が解決したMさん、Kさん、Uさんが体験談。出版ネッツ・労連の相談の意義がよくわかりました。

講師の水谷研次さんは、自らの組合運動経験から憲法が保障する組合の権利の厚さ、1990年代以降の変化、労働者性を認めない判決のめちゃくちゃぶりなどに縦横にふれながら、連合がめざす立法解決を紹介。その上で「立法だけでは解決しない。組合をつくり、運動することが大事」と熱く訴えました。

パネラーの音楽家ユニオン・青谷充子さんは生音楽の振興と音楽家の権利擁護という2つの柱を具体的に紹介。「紅白を止める(構えの)たたかい」を組んでNHKからギャラ・アップをかちとった先輩の努力をひきついで今がある、という話が印象的でした。

立ち上げから1年半のインディユニオンの小林蓮実さんは、相談者の心の揺れや仕事がない悩みにふれつつ、悩みを受け止め関係を紡ぎ直す活動から、「のりかかった船は頑張ってみんなで漕いでいく」と語りました。

ネッツの広浜綾子さんは、トラブル解決の活動とともに、いちもくセミナーや校正シンポジウム、フリガイを紹介して、「版元労働者とも協力し、いい仕事をするためにも条件を改善していきたい」。

会場からの発言では、全受労(NHKの契約をとっているスタッフの組合)の勝木書記長、コンビニ加盟店ユニオン、行政関連ユニオン(公務サービスの民間委託の現場で働く人たちの組合)らが、それぞれの仕事の実情や組合のミッションを披露。映演共闘の緒方さんは、労基研報告の問題性を提起しました。それにしてもコンビニ店主はたいへんですね。

てきぱき司会をされた杉村さん、パネラーの広浜さん、経験を話してくれたMさん、Kさん、Uさんをはじめ、準備、設営、資料づくり、受付、撮影などを滞りなく進めてくれたみなさま、ほんとうにお疲れ様でした。

私たちが安心して働く上ではさまざまな「壁」がありますが、ユニオンに入り、多くの仲間とつながることで一歩ずつ状況を良くしていけるという希望がわいてきました。新国立劇場事件やセブンイレブンの労働委員会事件(ともに団交拒否)をはじめ、渦中の問題の解決にもつながることを念じています。

(by 出版ネッツ  K)

**[2]***********

出研集会第2分科会の私的感想

6月24日に「組合があって良かったと思う瞬間――フリーランスユニオンの可能性」というテーマの出版研究集会の分科会があった。本来、労働組合研究集会のようだが、出版界の状況をみれば出研集会のテーマとしても成り立つとも思われる。

講演者の水谷さんは連合東京所属、連合の方が多く出版労連本部での集会に参加されたこと自体、珍しいことで、大変よいことだと思う。新たに、これまで落ちこぼしてきた人たちを、工夫して組合に組織しようとする努力も感じられる。そこに、かつて総評で現場を担っていた人の血脈が流れているのも認識できる。

こうした下層の連合の部分とは、もっと共同すべきで、一橋マイスタッフ争議のときに必ずしも十分できなかったのが悔やまれる。全労連よりも進んでいるところもある。

しかし、一方で札幌交響楽団が問題を解決するために、音楽ユニオンを脱退させられて連合に入ったこと、加盟ビッグユニオンが断りなくユニオンショップの範囲を非正規のある部分にまでひろげて、組織率をあげたことなど労働組合としてナンセンスなことも、連合はやっている。

全体として、連合にたいして複眼的にみることを徹底し、下層とは共同することが重要との感をつよくした会であった。

ネッツのメンバーを中心に、外部の方も多く、70人以上が集まった。内容的にみて、出版労連の中執の方が極めて少なかったのが残念だった。
(by サポート支部 S)
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6/25:第3分科会とその報告

6月25日は出版研究集会「どうなる出版流通」の日です。
文京シビックセンター3階会議室AB、6時半から。

講師に『新文化』編集長の諸山誠さんを招いて、
出版流通の現状、取次(日販)が行った総量規制によって浮かび上がった問題、
あるいはアマゾンの台頭が意味するもの、などなどについて報告してもらいます。
それを受けて、大井さん(教科書会社社員にして週末書店店長)、
ユニオン取次支部長の安倍さんを交えてパネルディスカッションを行います。
会場からもどしどし発言していただこうと思っています。
*************
6月25日の出研集会第3分科会「どうなる出版流通」の報告をします。

 最初に『新文化』編集長諸山さんが、
“「どうなる出版流通」いやいや「どうする出版流通」”と題されて講演。
 売上が落ち込み、書籍の出回り部数が増加し、新刊点数は高止まりしている中、
(1)“回転寿司”流通(注文も聞かずにどんどん流し、残ったら捨てる=返品するの意、上手い)に
  NOを突きつける取り組みとして
  @日販の責任販売制や総量規制(手法には問題あり)のとりくみ。
  A一部の書店による、新刊委託や注文の見直しのとりくみ。
(2)多くの出版社の法人取引額で1位になっている、アマゾンの徹底した顧客目線。

これらが、出版流通を考えるヒントになるのではないか、と話された。

 そしてまとめとして、新刊が満足に入らない小零細書店の一つの生き残り策として外商。
書店も出版社の選別に向かう中、出版社はいつまでも取次にもたれかかっているだけでいいのか?
粗製乱造でいいのか?電子書籍の到来が出版社の役割を再認識させてくれたのではないか?と。

 パネラーの大井さんは
 両親から受け継いで行田で20坪の書店をやっているが、本屋は楽しい。しかし儲からない。かつては2万軒の本屋があり、これをめぐるコミュニティがあった。雑誌はコンビニ、そしてアマゾンがあればいいのだろうか?チェーン店は出店もリース、本もリースだが、同じ条件で競争させろといいたい。大型店もつぶれる時代が来るかもしれないがそのツケは?本屋だけでやっていければいいのだが。

 ユニオン取次支部長の安倍さんは
 取次では多くの非正規労働者が、冷暖房が効かず、時給800円台後半、早上がりもあるという条件の中で、本を発売日に渡すために体を張っている。ある書店経営者が最賃1000円になったらやっていけないと発言した。このような厳しい出版流通の環境改善のために頑張る。大型書店に有利な取引条件がある。

 その後会場も交えて、
出版産業でおきている事は他でもあり、そこを見る必要/
時給1000円ではやっていけないのなら流通マージンを上げる必要がある/
あまり上がると他産業からの流入が怖い/
モノを売るだけでなく、ソフトやノウハウに課金も考えなくては/
コミュニティの再生を考える必要がある/
通勤路にある本屋が2軒つぶれたが、アマゾンを使わず、街の本屋で買うようにしている/
アマゾンは使いたくないが本屋にないものがあり、特に古本/
中小書店の事前予約は無視せざるを得ない状況がある/
まともな本を作ることが基本だ/
版元からのきちっとした事前情報がほしい/
本が好きだが給料が安いから業界から離れるということを何とかしたい/

 などなど活発な議論が交わされた。何らかの方向性が出たわけではないが、私が考えたタイトル「どうなる出版流通」では他人事のようで、「どうする出版流通」と考えるべきだと痛感した。
 50人以上の人に参加してもらい、活発な議論が出来てよかった。 

(by 取次支部 I )
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7/2:第4分科会とその報告

 分科会・電子書籍の現状と未来の報告です。

 hon.jpの落合早苗さんはまず「今多くの出版社は電子書籍に対して、何かしなければならないが、しかし何をすればいいのか?と不安・あせりに陥っている。それは電子書籍の現状・未来が見えにくいからで、これから話す事がどういう態度をとり、何を考えればいいかの参考になれば」と切り出された。
 
 国内電子書籍の市場規模は09年で600億弱でケータイコミックが400億弱あり、若者はケータイでコミックを読むことは常識になっていて、出版不況の中、電子を入れれば、コミックはさほど落ちていない。電子は回し読みが出来ないというメリットもある。日本の電子書籍はケータイ中心ですすんでいる。

 米国の電子書籍は09年で165億と実はたいしたことはない。しかしモーレツに延びている、と電子書籍市場の概況を話され、その後国内出版社の取り組み事例、電子書籍の流通経路、米国企業・米国市場の特性(市場からの資金調達を意識した行動など)、amazon,apple,googleなどの攻防について述べられた。

 そして出版社へのアドバイスとして、自社出版物の特性を理解したうえで適切なデリバリ方法を選ぶ事、著者との契約の見直し、をあげ、最後に電子書籍は一つの道だが、自分たちのミッションを果たせば良い(売れないのはネットのせい? 読者の可処分所得を占有できる作品を提供できているか?)と結ばれた。

 質疑の中では、ケータイは世界中誰でも持っているが、PCは誰でも持っているわけではなく、量を売るならケータイである。しかし人文社会科学書をケータイで読むのはきついのでは、というように出版物の特性に合わせるべき。

 電子書籍でエロ系を勝手にはずすなど検閲まがいの行為については、appleはカトリック総本山といわれるぐらい厳しい、販売しないということが検閲に当たるかどうかは難しいが、何の告知もないなどの問題もあり、ペンクラブでも問題にしているが版元は抗議すべきだ。

 問題集・ドリルは書き込みも出来て有望だ。電子教科書はお上に弱い日本の特性からして、上からバーンとやられるということは大いにありうる。などなど書ききれず。

 今出版界における最大の問題ということもあって、参加者も80人強と多く、非常に盛り上がった分科会でした。

(by 取次支部 I )
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7/6:第5分科会とその報告

 7月6日の出研集会第5分科会「変わる図書館」の報告です。

 国分寺市立図書館の堀さんから、まず全国には公共図書館が約3千館あるが、東京には400(4〜5万人に1館)、横浜は15(20万人に1館)というように、図書館設置・整備についての基準はあいまい。図書館が買う本は公共図書館で3百億、大学図書館が7百億で計1千億円(出版産業2兆円のうち)、貸し出し部数は07年で6億7千万冊(全体の販売部数33億冊のうち)であると図書館の概要が報告された。

 続いて図書館の選書について、MARC(ISBNだけでは管理できないため)の話や、新刊の選び方(取次やTRC発行の週刊全点案内を全員でチェックする)、あるいは既刊本で漏れはなかったか(人文系受賞作など)のチェックしていることなど話された。そして複本問題について、国分寺(市に全部で5館)では最大1館5冊=市で25冊、ほとんどが市で1冊で、市で2冊は1%もないこと、取次不扱いのものにも眼を配り、地域・公共図書館としての蔵書構成を考えていると。そして民間委託の問題(国分寺はまだ)についてふれられた後、「ふらふらときて、いろんなものに触り、選べる空間を大事にしたい」と結ばれた。

 続いてポット出版・沢辺さんが、図書館について考えるとき国会図書館、都道府県立図書館、公共図書館を区別する必要、これはジュンク堂と町の本屋は別というのと同じで、市・区の図書館が売れ筋中心というのは当然の事、役割が違う。TRCのカタログのストックブック(カラーページのところ)に載るかどうかで選ばれるかどうかに差が出るので、ここに載せるための努力も必要。など。

 そのほか、装備込み納本の問題、MARCなどのデータの問題、電子図書館の問題などが議論になった。個人的には学生の頃入り浸っていた図書館と違って今は読む席がほとんどないことについて2次会で聞いたら、70年代に図書館は蔵書がメインで読んだり勉強するための空間ではないというように変わったが、また見直されつつあるとのことでした。
 非常に面白い分科会でした。

(by 取次支部 I )
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