出版文化を支える紙の技術と心を訪ねてこの工場は、1922年(大正11年)の操業開始以来、78年間も、「紙を作りつづける」ことで、日本の文化と産業の発展を支えてきた工場。現在、三台の抄紙機が稼働、高品質な印刷用紙と白板紙を製造、首都圏から発生する大量の古紙を再生活用することで有名である。 工場の概要説明に当たっていただいたのは、事務部・製品担当の米川公平さん。 *「この工場では、東京都の紙ごみの約10%に当たる15万トンの古紙を再利用、製紙用原料の一定量をまかなっている」 *「白板紙は、大半が古紙でできており、さまざまなパッケージに使用され、また、印刷紙の教科書用紙にも古紙が配合されており、この工場で作る紙が、皆さん方のお作りになる本や雑誌を支えています」 と生活と出版と紙の関連をお話いただいた。 続いて、お話いただいたのは、研究技術室・上級技師の岡 米二さん。この工場の品質管理の大ベテラン。かずかずのアイデアで新製品を育ててきた「紙の道、一筋」のエンジュニア。 *「紙は、木材を砕いたパルプに添料、サイズ剤、サイズ定着剤、紙力剤、染料などの添加物を加え、大量の水でかき混ぜたものを抄紙機に流し込み、脱水しながら、乾燥させることで生まれます」 *「紙には大きく分けて、木材チップの中のセルローズ分だけを使う化学パルプとセルローズ、リグニン、糖類などすべての成分を使う機械パルプがあります」 *「化学パルプからは上質の紙が生まれますが、当然コストは高く、機械パルプは、安価で厚みがあり、裏抜けのし難い紙が生まれますが、変色するという欠陥があります」 *「現在の印刷用紙はこの二つの性質のそれぞれの特性を活かして、用途用途に応じた紙が作られます」 * 「古紙の利用で一番難しいのが印刷されたインクを抜く脱墨技術、さまざまなアイデアが生かされています」 などと『紙のできるまで』を詳細に解説していただいた。 前半のミニ講義を受けた後。お二人に案内されての工場見学。まず、最初に案内されたのが、「古紙の材料」になる資材置場、小山ほどに積み重ねられているのは、「返品処理後の週刊誌・コミックや大量のOA用紙」。参加者一同その膨大な量に「悩める出版界を見る思い」で眺め、工場に入る。 見学したのは、長網多筒式抄紙機。 *「パルプを大量の水とともに均一に分散させながら、ワイヤーの上に吐き出し、網目の上で繊維を絡み合わせながら水を切り脱水工程へ、そしてドライヤーパートで乾燥させると、パルプが紙に生まれ変わる」 * 「表面に薬品を塗りカレンダ工程で表面を滑らかにし完成」「巻き取られた紙を注文のサイズに裁断しながら再び巻き取り」 * 「枚葉紙の場合は、一枚一枚サイズに裁断しながら検品。500枚ごとにカウントされてゆく」 * 「不良部分が検品されれば直ちに写真が取られ、マーキングされていく」紙を作るさまざまな技術とともに、「一枚たりとも不良品は出荷しない」 というその検品システムに感心しながら、見学を終えた。 |