第1章 基礎的な話
(1) 印字・組版からみた形態には、「CTS Computerized Typesetting System (もしくはCold Type System)や、大手印刷所独自のCTS、写研などメーカーのもの、DTP Desk Top Publishing、Mac DTP」などがある。
また、その他「TEXや最近注目をあびているファイル形式として、XML、PDFなどがありる。
データによる供給のしかたにも、「CD-ROMやiモード、インターネットでの供給などがあり、電子的な制作過程を前提とした印刷っとしては、CTP Computer to Plate (もしくはComputer to Print or Computer to Press)や「オンデマンド印刷と呼ばれるものがある。
(2) どこに作業を依頼するのか
作業の仕方にも、「自分で編集する(編集者・あるいは社内のDTPオペレータなど)」ことが基本のところと、「デザイナーに依頼する」「プロダクションに依頼する」「印刷所に依頼する」など様々な形がある。
(3) 電子化による印刷工程の劇的な変化
従来のCTSでは、データを加工するのは、原則として印刷所であった。しかし、現在では、データは多くの人の手を経ることになる。このため、次の段階の処理をする人のことを考え、作業を進めることが以前にもまして重要になる。
また、工程も劇的に変化した。役割分担を明確にすることが必要(たとえば、DTPであたり画像の分解はだれがやるのか?。文字の訂正作業はだれがやるのか?。など)。である。
従来の工程をDTPに持ち込むのではなく、DTPの工程に編集作業などを合わせることがより重要になってきている。
(4) コストは本当に下がるのか?
印刷業界では、数年前までは「DTP」、最近では「CTPを導入しましたから安くできます」とのセールス・トークが使われている。これは本当なのだろうか?
DTPでは従来のCTSの出力機に比べ設備投資の金額は一桁下がるため、この原価償却分(3割ぐらいは下げられたと聞く)を下げることは可能であった。しかし、印刷業界のダンピングは主にDTPオペレータの低賃金・長時間労働によっている。またCTPの場合、刷版の出力機のみで1億円単位、CTPに適合した省力化された印刷機を入れると数億円かかるといわれており、競争上しかたなくCTPを導入しているところも多い。
このように、印刷所間の過当競争と、長時間・低賃金労働に支えられ、DTP・CTPは通常従来印刷より安価になっている。しかし、特に出版社側でDTP作業を行う場合などでは、責任の所在がはっきりすることになり、直しを繰り返すなどの場合には、高価になることもある。
(5) 内部コストをどう見るか?
DTPなどの場合、社内で行う作業のコストをどう判断するかも重要。
(6) 無理なスケジュールを組まない
DTPなどの場合、従来の方式に比べ時間を短縮できることは確かだが、無理なスケジュールは破綻する場合が多いし、できても無駄な作業を繰り返すことになりやすく、大幅なコストアップをまねくことが多い。なお、直しをできるだけ上流で行うべきことはどのような方法で組版を行う場合でも同様である。
第2章 パソコンを使用した編集
現在では、 パソコンのスキルが必要不可欠になっている。
(1) 著者から原稿を受け取るとき、著者にファイルのバックアップを取っておいてもらうこと。著者からプリントアウトを受け取ること。受け取ったらファイルのバックアップをとること。著者からきたファイルの内容を確認すること(下書きなど多数のファイルが含まれており、どれが使用するファイルかわからない、著者の間違いでファイルが入っていない、などの事故もある)。
(2) 一般的にいって、著者からはテキストファイルでもらうのが最も便利。新たに執筆するものなら、事前にどのような状態で原稿をもらうか打ち合わせを行っておくこと。
最近ではWindowsのワードファイルで入ることが多くなった。ルビや脚注のあるワードファイルをワード上でテキストファイルに変換すると、これらが脱落(ルビの場合にはルビの付けられた文字ごと)する。また、英語以外の言語が入っている場合も、その文字情報をうまく持っていくことが困難。さらに、ワードなどではユニコードが扱えるようになっているが、テキストファイルに変換すると文字が別の文字に置き換わってしまうという問題がある。平凡社の例では、最近人文系の本でも、TEXで組まれたものが持ち込まれている。
このような、高度な組版情報を持つ原稿を渡された場合には、自分でテキストファイルに変換したりせず、専門家に相談し、できるだけ組版情報が役立つ方法をとた方がよい。
(3) フロッピーやMOなど電子媒体で入稿する場合、使うファイルのみを移し、会社名、担当者の氏名、書名などをラベルに記入し貼り付ける。
(4) 自分でデータを加工する場合、ワープロではなくエディタを使おう。
(5) PCに慣れたら、マクロを組むなど検索・置換などを工夫しよう。
(6) DTPなどで共同作業になる場合、環境をチェックし統一しよう(OSや使用するアプリケーションソフトのバージョン、プラグイン・エクステンション、フォントはOCFかCDIか、使用フォント名など)。使用するPCにウイルスチェックソフトをインストールし常時チェックすること。データを受け渡しするときの、データ形式、メディアの種類なども最初に確認する(出力センターや印刷所では、専用の入稿仕様書を作っている)。
(7) Mac DTPが最近万能のように誤解されているようだが。適合するのは以下の場合。
(a) 図版が多く、そもそもレイアウト作業をMac上でやるもの
(b) 文字データがすでに入力されているもの
(c) 使用する文字が、Mac DTPで、標準で使用できる文字の範囲をあまり超えないこと。
(d) 編集担当者が、DTPの知識をもっていること。
第3章 外部に作業を依頼する場合
DTP作業はデザイナーやフリーランスなどの外部に依頼することもできる。しかし、その知識やスキルには雲泥の差がある。一般的にいって、デザイナーの多くはPC全般に関する知識が不足しており、DTPスキルの低い人も多くいる(有名な人にも多くいるので注意)。
また、デザイナーの多くは文字に関心を持っておらず、誤字や文字組の美しさなどには無頓着な人もいる。このため、デザイナーには文字の修正をしていただかないほうが無難である。
デザイナーの場合、広告出身の人に多いが、ページ組をやったことのない人もおり、イラストレーターしか使えない人がいる。私の経験では、上製本の表紙の展開図がかけない人が複数いた。DTP経験者だといっても、その経験内容を聞くことが重要である。しかし、作品からではDTPのスキルが分からないし、また、デザイナーの主な仕事はデザインであり、DTPのスキルが高いということだけでも依頼できない。
フリーランス、プロダクションも同様であり、作品は参考にはなるが、付き合ってみるまでスキルは分からない。
印刷所に依頼する場合にも同様の問題が出る。印刷所にDTPのページメイクアップを含め依頼したとき、印刷所では内部でやる場合と、外部に出す場合がある。結局だれがやるかによって異なるらしい
中堅の印刷所(数百人規模)の場合、DTPへの対応は雲泥の差がある。従来製版に代わり、DTPをメインにしているところの場合、問題は少ない傾向にあるが、従来製版がメインの場合には問題がおきやすい。
外部に依頼する場合重要なのは、事故とか不都合なことがあった場合に、現場の技術の方と話せるチャネルを作っておくことである。現在、印刷所の営業の人も、一定程度のDTPの知識を持っているようになったが、多くの場合耳学問であり、現場と直接話せるようにしておくことが重要である。
第4章 データの保存
外部に作業を依頼した場合、見落とされやすいのはそのデータをだれがどのように保存するかという問題である。本を出すという従来の前提に立てば、製版フィルムが保存されていれば良いが、データの流用を考える場合には、出版社側でもデータを入手し、保存することが重要である(この辺の権利関係は、新しい分野であり、慣習が存在しない。そのため、依頼時にはっきりさせることが重要)。印刷所の工程によっては、ふたたびMacデータに戻せない(つまり、今後は印刷所の専用機でしか直せない)こともあるので注意。
第5章 紙媒体以外での出版
(1) CD-ROM出版 近年落ち目。出版社が行ったCD-ROM出版では辞書以外はあまり振るわず。ただし、外国の専門誌などでは当たり前になっている。
(2) 家電化 電子辞書への供給など。
(3) ネットワーク出版(e-book) 最近増えている。有料のものも増加している(B to C 以外にB to Bも)。無料のものでは「青空文庫」が有名
(4)検索サービス iモードやPCを使ったもの(B to C 以外にB to Bも)。今後増えるのではないか。出版社系では、たとえば三省堂がiモードに辞書を載せている。
(5)ファイル形式&ブラウザーソフト PDF Portable Document FormatやT-timeが有名。マイクロソフトも参入。