オリコン訴訟・烏賀陽氏の事実上の逆転勝訴に関する声明
ヒットチャートで知られる音楽業界の巨大メディアであるオリコン株式会社(以下オリコン=小池恒社長)が、フリージャーナリスト烏賀陽(うがや)弘道氏(出版労連の個人加盟組合「出版ネッツ」の組合員)に対し5000万円もの損害賠償等を求めていた名誉毀損訴訟で、8月3日、原告のオリコンが「請求放棄」をしたことにより、烏賀陽氏の事実上の逆転勝訴が確定しました。
この間、控訴審での協議が東京高裁(奥田隆文裁判長)で行われていました。「請求放棄」とは、被告の同意を必要とする「訴えの取り下げ」と異なり、裁判所に対する原告の一方的意思表示です。原告が請求の当否について審判を申し立てながら、その請求について自らこれを否定するもので、学説上も被告の全面勝訴と位置づけられています。
この事件でオリコンは、月刊誌『サイゾー』が電話取材をしてまとめた記事について、サイゾー編集部に確認や問い合わせをすることもなく、また出版社は提訴の対象から外して、2006年11月にいきなり取材に協力したフリージャーナリストの烏賀陽氏に対して巨額の賠償請求をしました。1審の東京地裁は、2008年4月、オリコンの主張を認め、烏賀陽氏に100万円の支払いを命じました。そして、係争の場は東京高裁に移されました。
東京高裁での控訴審では、サイゾーも利害関係人として訴訟に参加しました。サイゾーは、烏賀陽氏からの取材内容を不正確なまま、本人の了解を得ずに掲載したことを認め、謝罪と補償をしました。
オリコンが「請求を放棄した」ということは、裁判を起こしたその行為自体が誤りであったことを認めたということであり、敗北宣言に等しいものです。にもかかわらず、オリコンはいまだに謝罪も反省もせず、企業の社会的責任を放棄しています。そもそもオリコンがこの裁判を起こした目的は何だったのかを、強く問うていく必要があります。私たちはこの裁判が、言論を封殺する目的で起こされたものだという主張を、この間一貫して行ってきました。
私たちの周りには、言論の弾圧や封殺を目的とした高額訴訟が、まだまだいくつも存在しています。また、今後もこのような動きが続くことも予想されます。このような動きを放置することは、憲法で保障されている言論・出版・表現の自由を放棄することに繋がると、私たち出版労連は考えています。
出版労連は今後もこのような言論弾圧に反対し、表現の自由を守る運動を強化していくことを表明します。
以上
2009年8月4日
日本出版労働組合連合会
中央執行委員長 大谷 充


