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   文化フォーラム:表現の自由が危ない

日時:7月26日(土)14:00〜
場所京都新聞文化ホール(地下鉄丸太町駅すぐ)
主催:関西MIC,京都MIC (MIC:マスコミ文化情報労組会議 )

 憲法により「言論・表現の自由」が認められているはずの現代日本で,それが脅かされています。政治家,企業が特定のジャーナリスト,個人を狙い打ちする「口封じ訴訟」の横行。映画「靖国」は,国会議員の圧力的な発言をきっかけに上映中止が相次ぎました。インターネット上の言論に対しても規制を強める動きがあります。

 ジャーナリストや問題意識を抱く市民を「口封じ」し,メディアが過剰な自主規制をすることが目的にほかなりません。メディアに携わる労働者,市民にとって現実的な脅威です。表現の自由の危機を訴え,権力の監視機関であるマスコミの役割を再認識するとともに,今後のあるべき姿を探っていきたいと思います。

[1] 基調講演(予定)
  山田 厚史氏
  烏賀陽(うがや)弘道氏

[2] 出席者によるパネルディスカッション 

 【出席者(予定)】
 ■烏賀陽 弘道氏
 ジャーナリスト。京都市出身。京都大から朝日新聞社入社。AERA編集部では音楽・文化担当。2003年退社後,音楽ライターとしても活動。2006年,月刊誌「サイゾー」に掲載されたコメントをめぐりオリコンが烏賀陽氏のみを狙って名誉棄損訴訟を起こした。

 ■日隅 一雄氏
 弁護士。京都大卒業後,産経新聞入社。退社後,司法試験に合格し,1998年に弁護士登録。報道被害,NHK番組改編事件などに取り組む。

 ■藤代 裕之氏
 ジャーナリスト。元徳島新聞記者。マイネット・ジャパンアドバイザーなど歴任し,2004年にブログ「ガ島通信」をスタート。ブログ,メディアに関する執筆や講演を行う。

 ■山田 厚史氏
 朝日新聞記者。同志社大法学部から1971年,朝日新聞社入社。AERA編集部から経済部編集委員。銀行再編をはじめ金融,経済問題を担当。2007年3月,民放番組内での発言をめぐり,安倍晋三首相(当時)の公設秘書から損害賠償と謝罪文掲載を求めて提訴された。今年2月に和解。

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 【出席者にかかわる訴訟】

■オリコン訴訟

 雑誌「サイゾー」(2006年4月号)が,「ヒット曲のウソ@初登場第一位は底上げか!?ジャニーズは超VIP待遇!?事務所とオリコンの蜜月関係」とする記事を掲載。フリージャーナリスト烏賀陽弘道氏への電話取材をもとに,オリコンのヒットチャートにはレコード販売店への予約数が入っていることから,レコード会社による操作可能な数字であるということなどを,烏賀陽氏の発言のかたちで執筆,掲載した。ヒットチャートの発行会社オリコンは,この内容がヒットチャートの信用性を損なう名誉毀損にあたるとして,2006年11月17日,インフォバーン(「サイゾー」の発行会社),「サイゾー」編集部ではなく,烏賀陽弘道氏個人に対して,損害賠償額5000万円の支払いと,「サイゾー」への謝罪広告を要求して東京地裁に提訴した。今年4月,提出した証拠をことごとく退け,取材源にも責任があるとしてオリコンの言い分を一方的に認める1審判決が下された。

■安倍事務所秘書の山田記者に対する名誉毀損訴訟

 2007年3月25日,朝日新聞・山田厚史記者が,テレビ朝日「サンデープロジェクト」で「日興証券には安倍事務所にすごく強い常務がおられて,その人が今度これをやって将来社長だなんていう噂がね,ありますよ」と発言したことについて,5月17日,安倍晋三首相(当時)の秘書二名が,「あたかも『安倍事務所に影響力のある日興置券の常務が同事務所の秘書らに働きかけて,本来日興コーディアル証券は上場廃止になるべき事案であったにもかかわらず,同事務所の秘書らによって上場廃止が防がれた』」という印象を一般視聴者に強く与えるものだが,これは全くの事実無根として,山田氏と朝日新聞を名誉毀損で東京地裁に提訴,損害賠償3300万円の支払いと,朝日新聞紙上への謝罪広告の掲載を求めた。今年2月,「表現のなかに誤解を与える表現があったとすれば,遺憾である」という表現で「勝利的和解」した。

   文化フォーラム:表現の自由が危ない-----その報告

 連日35度を超える酷暑の京都で,7月26日,さらに頭を熱くする「京都MIC市民フォーラム」が開かれました。題して「表現の自由が危ない」。主催は関西MICと京都MIC。京都新聞社文化ホールにおける濃密な三時間は,驚きと納得の連続でした。

 烏賀陽(うがや)弘道さんは,2006年11月,オリコン(株)から5000万円の名誉毀損の損害賠償裁判をおこされて,東京地裁で敗訴しましたが,現在,控訴審の闘いを始めています。こうした高額を請求する民事訴訟は,ジャーナリストを黙らせる口封じ(恫喝)訴訟であり,国民全てを黙らせる意図があるという訴えに,会場は支援と共感の拍手で応えました。会場からの質問により,なぜ烏賀陽さんがオリコンから標的にされたのかも明らかにされ,狙われて狙撃されたことが明白になりました。そういう立場に立たされた以上,最後まで闘うという彼の決意表明は,故郷京都に錦を飾るものだと(当人は否定していましたが)そう思いました。

 朝日新聞記者の山田厚史さんは,2007年3月,民放番組内での発言をめぐり,安倍晋三首相(当時)の公設秘書から3300万円の損害賠償と謝罪文掲載を求めて提訴されました。今年2月に完全な勝利的和解をかちとりますが,そこにいたるまでの新聞社,裁判所,そして権力者の右往左往に対して「ちょっと待ってね。そんなことで,それでいいの?」と原則論を繰り返してきたことが報告され,会場を納得させました。

 ジャーナリストの藤代裕之さんは,2004年にブログ「ガ島(がとう)通信」をスタート。メディア,ジャーナリズムを主なテーマに執筆や講演を行いつつ,インターネットによってすべての人が情報発信者になることができる形の情報通信の自由を守っていく意義を訴えました。

 烏賀陽さんの高裁弁護士のひとり日隅(ひずみ)一雄さんの司会によるパネルディスカッションは,今日の日本のジャーナリズムが,マスコミなどの大新聞社,放送局よりもむしろ,周辺の弱小ジャーナリストによって担われていることを浮き彫りにしました。それだけに,大資本や権力者,政治家などがそうした個人を標的に狙撃してくる恫喝訴訟の卑劣さも浮き彫りになりました。初顔合わせの三人のジャーナリストに,弁護士を入れた四人が,ともに元,現新聞社の記者であることに驚かされつつ,今後はジャーナリストのネットワークの重要性が確認されました。


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