トップEvery-One @ Working Network>「京都 仏ぶつ ひろ馬」2008年度/1号

出版労連 京都地協
本と労働 京都 仏ぶつ ひろ馬」(ブツブツ広場) 2008年度/1号 (2008年5月7日)

[この号の目次]


  (1) 恫喝(どうかつ)訴訟! …京都地協議長 :三木 清樹
  (2) [ユニオン京都のページ]
     企業別組合の機能崩壊と個人加盟ユニオンの存在意義…ユニオン京都 :吉田 明生
  (3) 医者の叫び!…「仏ぶつひろ馬」担当(小西)


(1) 恫喝(どうかつ)訴訟!

 近年,大企業や政治家,団体が批判報道を抑える目的で高額な訴訟を起こすことが相次いでいます。

 大手消費者金融「武富士」が懐柔に応じない雑誌やジャーナリストに対して高額訴訟はおろか盗聴まで行い,会長が逮捕され有罪判決が下された事件を記憶している人は多いでしょう。

 京都出身のフリージャーナリスト烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)氏が,ヒットチャートで知られる「オリコン」から訴えられた裁判は露骨な恫喝訴訟です。烏賀陽さんは,雑誌「サイゾー」の電話取材にコメントし,それを編集者が20行程の記事にした。オリコンは,そのコメントによって名誉を毀損されたと訴えたのです。つまり,取材源が訴えられたのです。賠償金5000万円。オリコンは,出版も行っているメディアです。それが自社媒体などで反論をするのではなく,いきなり訴訟です。

 フリーのジャーナリストが訴えられると,それに対応する時間や費用など全て個人負担になります。そのことだけでも本来の仕事が出来なくなります。企業側は,それだけでも初期の目的を達したといえます。

 こうした恫喝訴訟は増える傾向にあります。諸外国では,言論の自由を妨げるとして禁止またはその検討が進められています。

 4月22日,東京地裁にて烏賀陽さん全面敗訴の判決が下りました。判決内容を見てもあまりにも杜撰なものと言えます。

 京都地協は京都MICとともに恫喝訴訟について学び行動する集まりを計画しています。憲法を守る運動の一つとして取り組みましょう。

(京都地協議長:三木清樹)

←[ このページの目次 ] に戻る

(2) 企業別組合の機能崩壊と個人加盟ユニオンの存在意義

 個人加盟の出版情報関連ユニオンは,「企業別組合のない会社で働く人のため」の組合であることは当然ですが,現在では,それにとどまらないポジションにあり,「企業別組合が機能崩壊している会社で働く人のため」にも存在しています。

 ある会社を,A社としましょう。経営者の組合敵視政策が激しく,出版労連に加盟するA社労働組合の組合員は,本社とは別の場所の職場に押し込められていました。ところが,本社に二つ目の組合ができ,元からあった組合と統一することになり,全A社労働組合(全A労)ができました。その後,小共闘運動とともに運動は前進しましたが,経営の敵視政策は相変わらずで組合員はふえず,高齢化と少数化がどんどん進行し,企業別組合としての展望が見えにくくなってきました。

 さて,そういう状況のA社において,非組合員が不当な理由で解雇されたとき,労働組合は,どう動いたらよいでしょうか。

 当然,解雇された人のために全力を尽くすべきです。同じ職場で労働者が解雇されたというのに,そこの職場の労働組合が,包み込んで闘おうという状況にないというのでは,労働組合の存在意義を問われます。不当労働行為と闘うのは,組合の権利を守ることですが,解雇攻撃と闘うのは,労働者の生活を守ることであり,どちらかができて,どちらかができないという問題ではなく,両方ともに必ずすべきことだと思います。もし,過去のいきさつなど様々な理由によって,組合加入できない,加入しにくいというのでも,無条件で全面的な支援をすべきです。それもできないというなら,その組合の存在価値は,どのようなものでしょうか。

 現在進行形のこの組合の場合は,今後どうなるのか,すべてこれからの話なので,これ以上はどうなるか分かりません。以下は,一般論としての話です。

 職場の労働者が不当に解雇された場合,守って闘うことができない「欠格単組」が存在していることに,多くの人はさして驚かないというのが,私たちのまわりの現実と言われています。機能崩壊に陥っている企業別組合は,残念ながら珍しい事例ではないとも言われています。

 現在,出版労連では,組織上の困難に直面した企業別組合をユニオンに移行させる方針を打ち出しています。ただ,いくら黄昏(たそがれ)ているとはいえ,闘う方向を見いだしたい,その方向を探りたい,そういう思いが,企業別組合がユニオンに合流するときの,「最低限の志」だと思います。職場の労働者が不当に解雇された場合,守って闘うことができないような「欠格単組」は,自らユニオン移行も模索できずに立ち枯れていくでしょうから,その「志」が問題にされるような場面はないのでしょう。そして,企業別組合が機能崩壊している会社で働く個人が闘うために,個人加盟ユニオンの存在意義があるというわけです

(ユニオン京都:吉田 明生)
←[ このページの目次 ] に戻る

(3) 医者の叫び!

 春闘での賃上げも空しく,そのうえ4月1日からの値上げラッシュ!値下がりしたのは,ガソリンだけ・・・。とはいえ,今頃は再値上げ? 国民には,ほとんど知らされていなかった「後期高齢者医療制度」がスタートした。これを知ったのは3月ころ新聞で。こんなひどい制度,いったいいつ決まったの?健保本人負担もはじめは一割だったのに,二割から三割まではね上がり,しかも一時金からも天引きされるようにもなった。今度は,75歳以上のお年寄りからも保険料をとるなんて・・・。テレビでタレントがこの制度を「姨捨山ですね」と言ったら,某政党の議員が「姨捨山は,お金をとらない」と。年金から天引きとは,「お年寄りに早く死ね」と言っているようなもん。現役世代にも負担がいくという。近い将来,団塊の世代が75歳になるころには,保険料も大幅アップ。長生きしてもいいことなし。

 さらにハプニングなことが医療の現場で起こっている。たまたま「ぶつぶつ広場」に載せる記事のネタ探しをしていたころ,「救急車のたらいまわし」の問題が世間を騒がしていた。それでふと「医療」の問題を取り上げてみるのもいいかな?と。

 身近に医療現場で働いている姉夫婦と甥っ子がいるので,さっそくメールで尋ねた。
 姉からは,「医療現場について思いはいっぱいあるけれど,文章にはしにくくて・・・」
と。そばで聞いていた姉の旦那さんが,「オリジナルでなくてもよければ」とたくさんの資料がパソコンに送られてきた。その中には,「救急車のたらいまわし」や「医療ミスによる訴訟問題」,「救急医療はなぜ崩れ行くのか」などが満載。それらの資料を読んで目が点に!「たらいまわし」の現状が,患者と医師の関係だけで解決できることではないということがわかった。やっぱりここでも国の責任が問われている。「名ばかり管理職」で過労死寸前まで働かされていた人たち,その過労死がいまや研修医や医師のあいだにまで広がっている。ワーキングプアーや非正規労働者の増大,格差社会,こんな社会を誰が望んだのでしょうか? いろんなことに関心をもてばもつほど,怒りの矛先は,いまの政治に!「医療」の問題は私たちにとって「死活問題」です。

 いまマスコミで話題にされている「たらいまわし」の現状を,わかりやすい文章で送られてきたので紹介します。(A病院の一例)

「救急車のたらいまわしの現状」と言われるものは一体何なのか? 
私はある新聞を30年以上購読してきましたが,医療への偏見の強さにいつも憤っています。
マスコミは「正義の味方」を演じたいのでしょう。無医地区の過疎地でがんばる素晴らしいお医者さんと,患者をないがしろにする悪徳医者といったように,ものごとを善玉悪玉に分けてことたれりとしています。確かにそういう人もいるでしょうが,どうにもならない医療の現場をもっと知ってからものを言ってほしいというのが,医療職にある大多数の人間の思いです。

 「救急車のたらいまわし」「受け入れ拒否」といった活字が紙面に出ています。これは悪意に満ちた書き方だと思います。「拒否」ではなく,「受け入れ困難」なのです。

 通常,病院の当直医はたった一人です。そのたった一人の当直医が,たくさんの入院患者さんの病態変化に対処しています。一晩に何人もの患者が急変して,夜明けまで心肺蘇生を続けることもよくあります。仮眠なんかろくにとれません。そして翌日も夕方まで勤務を続けるわけです。連続32時間勤務です。(労働基準法違反!)それが一般病院の夜間態勢です。

 救急受け入れ態勢を準備している大病院でも,担当は二人くらいでしょう。緊急手術が入ったり,先に一人救急搬送の患者を処置していたりすれば,そのつぎの救急搬送の要請に,「いまはとても無理です」と答えざるを得ないのです。

 B医師に,病院で救急部の当番に当たっているとき,どんな具合か尋ねたところ,一晩に5〜6台の救急搬送があって,そのうち3人を入院させたという話しを聞いて,仰天しました。夜勤帯に一人救急入院があれば,それだけで,その対応は大変なものなのです。3人も受け入れるなんて,ふつうはとてもできることではありません。疲労困憊するだけでなく,とてももう頭が回転しません。判断力が落ちて,適切な対処をしていくことが可能とは思えないのです。

 受け入れできない状態であるにもかかわらず,受け入れることこそ,無責任のそしりを受けます。救急措置だけで済む場合はまだ良いのですが,緊急手術をしなければいけない場合などは,手術を担当できる専門医がいないとどうにもなりませんし,集中治療や経過観察を重点的にできる病院が空いていなければ,やはり受け入れることはできないのです。いま救急医療をはじめ,医療のさまざまな領域が崩壊の危機にあります。勤務医はみなヘトヘトです。

 90年代のイギリスがたどった医療崩壊の道筋を,日本もたどっているようです。制度や政策がもつ矛盾にほおかむりして,医師個人の倫理問題にすり替えているマスコミの論調は,偏見を助長するものです。「たらいまわし」「受け入れ拒否」という活字を見るたびに悲しくなります。
*******************************************************************
 ひとりでも多くの人に,いまの医療現場がかかえている深刻な問題を伝えていかなあかんという思いになった。自分たちの問題として・・・。

 3月の中旬ころに「医療制度改善を求める1万人京都府民の会」からシンポジウムの案内が舞い込んできた。偶然というか,グットタイミングだった。さっそく聞きに行った。またそこでもカルチャーショックに!「医療崩壊の知られざる真実」をテーマに。講演された本田 宏先生の話しにくぎづけに。医療現場からの「声」を届けようと全国を走り回っておられる。「医療崩壊をくい止めたい」という使命感から活動されているようだ。医者は「お金持ちで特権階級」のように思っていたが,医師も労働者だと実感した。こんな偉いお医者さんもいるんだと・・・

 この本田先生の京都での講演とほぼ同じ内容を広島県医師会のホームページの中のビデオコーナー(2007年3月2日分)で見ることができます。一度のぞいてみてください。

広島県医師会のアドレスを紹介しておきます。
(http://www.hiroshima.med.or.jp)

「仏ぶつひろ馬」担当(小西)
←[ このページの目次 ] に戻る


トップへ 戻る 1つ上へ戻る
前の号をみる2007年度3号 次の号をみる2008年度2号