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JMIU ノイズ研究所「成果主義賃金制度」裁判で団体書名の要請
「最高裁判所の上告受理と公正判決を求める団体署名」へのご協力のお願い(2006年10月)
憲法改憲阻止など平和と民主主義を守り,働く者のくらしと権利の前進のためにご活躍の皆さんに敬意と連帯を申し上げます。
さて去る6月22日,東京高等裁判所は,ノイズ研究所事件についてきわめて不当な判決をしめしました。
この事件は,株式会社ノイズ研究所が01年4月「成果主義賃金制度」を導入し,賃金を最高で8万円も一方的に引き下げたことが発端です。その回復を求めて,JMIU組合員が横浜地方裁判所川崎支部に提訴し,04年2月の−審判決は,原告らの主張を認める画期的な判決となりました。ところが,今回の高裁判決は,一審判決を全面的に取り消したのです。判決は,不利益変更の事実を認定しながらも,従来の判例法理を踏み外して,「高度の経営上の必要性」と「就業規則の合理性」,そして「経営の裁量権」をきわめて広くとらえることにより,不利益変更を労働者の受忍すべきものであるとしたのです。
このことは,政府・財界が今たくらんでいる労働契約法制の改悪をまさに先取りすることに通じます。こうしたことがまかり通れば,労働者の安定したくらしや権利は画餅と化してしまいます。
原告はこの不当判決を許さないために,最高裁に上告して世論を喚起してたたかいを継続しています。
つきましては,下記の日程で,別紙・最高裁判所宛「上告受理と公正判決を求める団体署名」に取り組みます。貴団体の特段のご協力をお願いする次第です。
記
第1次集約:10月 末日
第2次集約:12月15日
返送先:別紙封筒にて 川崎市塗区商事町2・58−401JMIU(全日本金属情報機器労働組合)神奈川地方本部
以 上
東京高裁判決の破棄を求める要請書
平成18年(ネオ)第457号・平成18年(ネ受)第494号事件
ノイズ研究所の成果主義不利益変更を許さず
東京高裁判決の破棄を求める要請書
最高裁判所
裁判長裁判官殿
私たちは,ノイズ研究所(藤垣社長)の成果主義賃金制度導入に伴い行った降格・賃下げ事件に対して,去る06年6月に東京高裁が下した判決について,以下に述べる主な理由からその破棄を求めるものです。
第−に,ノイズ研の就業規則変更は,上告人らに月例賃金で9.1万円(26%)〜5.5万円(16%),年収で127〜76万円(いずれも03年度),65才までの生涯賃金では約4000〜2000万円という甚大な不利益を強いるにもかかわらず,高裁判決は,「高度の経営上の必要性」を認め受忍すべきとしました。しかし,導入当時,会社は株式公開をめざしており,高裁も「経営危機」にあったとは認めていないのですから,最高裁判例(みちのく銀行事件等)に違反しています。
第二に,ノイズ研の成果主義導入の特長は,その内容,やり方において最高裁判例が求める合理性を欠いています。会社は,新制度への移行時に,上告人らの仕事内容を従前通り全く変えてもいないのに,その格付を4〜2階級も下げてしまったのです。にもかかわらず,高裁は,「どのような仕事をさせるかは会社の裁量のうち」として,格下げが賃下げに直結することを無視したのです。
第三に,一審横浜地裁判決は「わずか2年間の調整手当支給だけの経過措置では不十分」として,本件就業規則変更を認めませんでしたが,これを高裁判決はなんの根拠も示さず「それなりのものと評価できる」と決め付けて逆転させました。わずか2年間で,4〜2階級,8万円ものダウンは取り返せないのは明らかなのに,「それなりの措置」などとした高裁判決は,結論が先にありきのものでその理由不備は明らかです。
第四に,ノイズ研は,労組支部との協議も行わずに「従業員代表」の意見書を得たとして改訂就業規則を労基署に届けた後,労働組合の追及を受けて01年6月29日に賃下げなしの職位等級格付けに合意して辞令まで出しておきながら,「間違っていた」と5日後には撤回。その後,会社は,団交拒否を続けながら新制度を強行しました。にもかかわらず,高裁判決は,会社に不誠実な態度はなかったとしたのです。
以上のような誤りだらけの高裁判決を許せば,一方的な成果主義賃金導入の下で降格・賃下げに苦しんでいる多くの労働者を見殺しにするばかりか,労働基準法第2条に定める労働条件の労使対等決定の原則を形骸化させるものであり,ここに原判決破棄の判断を下さるよう要請するものです。
以 上
2006年10月22日
団 体 名:出版労連 出版情報関連ユニオン京都支部
労働者の権利を踏みにじる東京高裁の不当判決に断固抗議する
ノイズ研究所「成果主義賃金訴訟」高裁判決について
■ 1 ■
2006年6月22日,東京高等裁判所は,「平成16年(ネ)第2069号 賃金支払及び地位確認請求控訴事件」の判決を示した。この事件は,株式会社ノイズ研究所が2001年4月「成果主義賃金」を導入し,賃金を一方的に引き下げたことは不当であるとして,その回復を求めて,同社ではたらくJMIU組合員3名が横浜地方裁判所川崎支部に提訴したものである。
2004年2月の一審判決は,原告らの主張を認め,賃金の回復を命ずる画期的な判決を示した。ところが,会社はこれを不服として東京高裁に控訴していた。東京高裁は,会社の主張を認め,一審判決を全面的に取り消した。「判決」は,原告らの賃金減額が「不利益変更」にあたることを認めながらも,それは労働者の受忍すべきものであるとし,労働者の権利を踏みにじるきわめて不当なものである。
■ 2 ■
「判決」は,原告らの賃金減額等が不利益変更であることを認めたうえで,「就業規則の不利益変更法理」(最高裁判例)にもとづき,その「合理性」について検討している。しかし,その結論は,事実経過をまったく無視した会社主張の一方的な鵜呑みと形式的な机上の法律論にもとづくものである。
(1) 「判決」は,会社の経営状況の分析抜きに,抽象的に「労働生産性を高めて競争力を強化するという目的のために賃金制度を変更することは,高度の経営上の必要性がある」と断定する。しかし,最高裁判例でいう「高度の必要性」とは,不利益変更がなければ経営が維持できない場合や社会的な要請がある場合など,きわめて限定されたものであることは明らかであり,「経営上の必要性」を判断するためには,具体的な検討が不可欠である。判決が言うように,「競争力強化」という,どんな経営にとっても当然必要なことが,労働者が受忍すべき「不利益変更」の根拠となるのであれば,あらゆる場合に「不利益変更」を認めることになってしまう。
(2) 「判決」は,会社の主張を鵜呑みにし,新賃金制度は「従事する職務の重要性の程度に応じた処遇を行うもの」であり,「自己啓発・努力次第で昇格も降格もありえる」ので,この変更は,経営上の必要性に対処し見合ったものであると断定している。そのうえで,「どの従業員についても,自己研鑽による職務遂行能力等の向上により昇格し,昇給することができるという平等な機会が与えられて」おり,賃金制度の内容についても合理的であるとする。しかし,実際に成果主義賃金が導入された職場では,どこでも恣意的な評価への不満が充満しており,ノイズ研究所においても,新賃金制度導入後,退職者が相次いでいる。「努力すれば誰でも昇格できる」という「判決」の主張は,現場の実態を無視した暴論である。
(3) 「判決」は,新賃金制度は「賃金原資総額を減少させるものではなく,賃金原資の配分をより合理的なものに改めようとするもの」というが,原告らの賃金減額が不利益変更にあたることは「判決」自身が認めている。賃金原資全体が減少していないことは,原告らが不利益変更を受忍すべき「制度の合理性」の理由にはまったくならない。むしろ,一部の従業員にのみ,減額を強いる「制度の不合理性」を示しているともいえる。
(4) 「判決」は,賃金減額者に対する経過措置について,「いささか性急なものであり,柔軟性に欠ける嫌いがない」と言いっつ,「それなりの緩和措置として意義を有する」として認めた。しかし,会社のとった経過措置とは,一気に8万円近くも減額された組合員も含め,2年目には50%減,3年目には全額減になるというきわめて乱暴なものである。
(5) 「判決」は,「格付け」について「経営上の裁量的な判断にゆだねられているのであり,裁量権の逸脱,濫用が認められない限り違法の問題を来すものでない」としたうえで,違法性を「根拠付ける事実を具体的に主張立証しない」のであれば,その主張は失当であるという。要するに,労働者が格付けに不満な場合は,その不当性について労働者みずからが具体的に主張立証すべきという,これもきわめて乱暴な主張を展開している。しかし,抽象的な「評価基準」にもとづき,使用者が一方的に行った「格付け」について,労働者が証拠をあげて具体的に反論することなどできるはずがない。
(6) 「判決」は,「賃金制度」導入の手続についても,「就業規則」変更にあたって,会社はあらかじめ従業員に変更内容の概要を通知して周知に努めた,JMIUとの団体交渉を通じて労使間の合意により円滑に変更を行おうと努めていた(実際には,団体交渉はきわめて不誠実で,結局,協譲が整わないうちに強行されている)ことをあげて,不利益を法的に受忍させることもやむをえないとする。就業規則変更を周知すれば事足りるとするこのような発想は,いま,厚生労働省が準備をすすめている「労働契約法」の考え方と軌を一にするものである。今回の「判決」はまさに「労働契約法」が成立されれば,このように労働条件の不利益変更が横行するということを示している。
■ 3 ■
結局,「判決」の行き着く先は,「賃金減額の不利益変更は,本人の自己研鑽・努力の不足」という「自己責任」論である。これは,「成果主義」にとどまらず,あらゆる「労働条件の不利益変更」にわたって,労働者の同意なく,使用者が一方的に不利益変更できるという「使用者のやりたい放題」へと道を開く暴論である。そもそも,契約の変更にあたって,契約当事者の承諾を要することは,契約法一般の基本的原理であり,民主主義社会の土台をなす市民法の原則である。また,日本国憲法では,「個人の尊重」(13条),「法の下の平等」(14条)を侵すことのできない永久の権利として,すべての国民に保障している。本来,対等平等の立場にある片方の契約当事者である労働者にのみ,一方的な不利益変更を押し付けるこの「判決」は,最高裁判例で確立された「不利益変更法理」から大きく逸脱しているばかりか,市民法にも憲法にも反する不当なものであるといわざるをえない。
■ 4 ■
「判決」は,「成果主義」万能論をかかげる日本経団連など財界の主張に全面的に加担した,きわめて政治的なものである。しかし,「判決」を伝える報道のなかでも,成果主義を導入した企業から評価や運用の問題点が指摘されていることにコメントするなど.(たとえば「日経新聞」),成果主義の問題点が次第に明らかになりつつある。「判決」は,こうした時代の流れに逆行するものである。わたしたちは,労働者の権利を根底から踏みにじるこのような「判決」は絶対に容認できない。断固抗議するとともに,職場地域にたたかいをひろげ,団体交渉をつうじて早如解決をめざす決意である。
2006年 7月 3日
全日本金属情報機器労働組合