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   出版情報関連ユニオンのストライキ

・ユニオンの組織と運動にみあったストライキがうてるようにしたい。
・そのためにも,特別会計の設置が必要。


(1) 闘い方,とくにストライキの検討

@美しいストと現実

・ストは,労働者の闘いの歴史で確立され,日本国憲法で保障されている団体行動権(争議権)。
その企業の大多数の労働者が時限ストを決行し,経営に譲歩を迫っていくという筋書き(企業別組合のストを念頭においた感想)は,美しくて理想的である。全産業レベルのゼネストという設定もあって,ストは労働者の「最大の武器」として位置づけられてきた。
・しかし現在では,ストによる闘い方に現実味がなくなっているのが,事実。多少のストをしても,経営は譲歩しないし,少数の組合員ではなおさら経営はびくともしない。労働者の方がかえって負担になってしまうことがある。個人加盟のユニオンの場合は,どうか。

Aユニオンにおけるストの意味の再考

・出版情報関連ユニオンのように,「企業の外につくられる連帯」をもとに,人間らしい生活と労働,労働条件の向上,最低限の労働法規の遵守といった課題の実現をはかっていくには,ストだけではない,多様な闘い方,考え方が必要であって,ストの意義を「最大の武器」としてとらえる考え方は,見直していきたい。
・出版情報関連ユニオンのような,個人加盟で,組合員のほとんどが零細企業に属し,出版産業の中心的企業にいる労働者よりは,むしろその周辺にいる人々を主として組織化している労働組合においては,労働者,労働組合の闘い方について,ストの意味を整理し,再考することが必要。

Bストの意味はおもに二つ

・出版労連のスト権の提起においては,
 →要求の実現をめざすスト権(職場における闘いの局面でとらえるもの)と,
 →社会的な運動との関係でとらえるスト権(憲法改悪反対スト権,労働法制改悪反対スト権)
とに区別されている。

(2) 出版情報関連ユニオンにおけるストライキ

@現在のストの位置づけ

・スト権投票についてのユニオン書記局からの説明は,次のとおり。
「ストライキをおこなう場合には,個々の職場状況,労使関係などを考慮し,事前に当該メンバーと十分に相談の上,執行委員会で決定します。ストライキ権を批准,確立するということは,実際にストライキを実施するかどうかということだけではなく,出版情報関連ユニオンとしての意思表示をおこなうといった意味で大切なものです。」

・ストの実施に事前の相談と合意…本来の場合と,順序が逆。
・本来は,事前の相談と合意は,スト権投票に入る前におこない,組合規約の割合でスト権が確立したら,あとは執行部の判断,指令に従って実施する。スト権が確立したからといって必ずしもストを実施するわけではないが(それは執行部の判断によるから),組合員がスト権に賛成するということは,指令に従ってストに入る決意を票として表明するはず。

・意思表示として大切…実際にストに突入するのではなくて,意思表示として重要という点を強調しているのも,本来のストの意味(要求実現,実力行使)を拡大するもの。

A特別会計による賃金カットの補填

・ストによる賃金カットを補填すべき特別会計が確立されていない。ストによる賃金カットを個人負担にすることはできないので,賃金カットをともなう行動はできなくて当然。これまで,出版情報関連ユニオンとしてスト権を行使した例は,少ないのでは?
・これまでの例…解雇争議との闘いで行使。

Bユニオンにおけるストの困難さ

・零細
→要求の実現をめざすスト権の行使…零細企業では,経営者との関係で,ストは,要求を実現するための手段として必ずしも適切でない場合が多い。スト以外の闘争手段や,コミュニケーションの持ち方などが重要になっている。連帯スト権は,意味づけをもっと明確にしたい。
→社会的な運動との関係でとらえるスト権の行使…憲法改悪反対,労働法制反対などのスト権行使は,経営者の理解を得られるか。経営者の理解がなくてもストは実施できるが,それでよいのか。
→組合員でも一人一人が大きな責任をもっている場合もあり,簡単にはいかない。
・少数
→一斉に職場放棄をして経営を追い込むという時限ストは,確かに美しいが,企業別のストの場合,少数の組合員しかいないのでは,要求実現は夢。
・産別結集
→零細,少数ということから,要求の提出,回答,団交の設定などを,産別(出版労連)の設定どおりに進められない問題があって,産別の流れに乗りきれない。労働組合に問題がある場合もあれば,経営との力関係でずれてしまう場合もある。
→地方支部の場合は,ストで参加するような設定そのものが少なく,「ストしてどこに行くの」という問題が起こってしまう。

(3) 出版情報関連ユニオンに限らず,現在なぜ,ストが困難なのか。

@賃金カット

・長時間になればなるほど,金額が大きくなり,カットの補填がなければ,生活にも影響してくる。補填があっても,長時間のストは,組合財政に一定の負担となるので,むやみに長時間のストは打てない。
・ストライキの賃金カットを止めることを要求して,実現している組合もある。責任分担論から5:5とか,経営責任論から10:0とか,実現すればストにともなう財政的な負担はなくなるが,ユニオンの多くの職場でそれが実現可能とは思われない。

A仕事の責任

・ストによって遅れた仕事は,結局,自分ですべて回復しなくてはならない仕組みにされてしまっている。誰かが代わってやってくれるわけではなく,その仕事がなくなるわけではなく,締め切り日も変わりないのであれば,ストにともなう仕事の負担は相当,重くなる。
・査定が実施されている職場では,仕事の遅延→マイナス査定で,賃金カット以上の金銭的負担を強いられる可能性もあるほか,昇格などへの悪影響も考えなければならない。
・多くの労働者が「連帯」の世界を追われて,「自己責任」の世界に閉じこめられてしまったのか?

B社会的な傾向

・社会全体としてストが減っている。ストなどしたこともなく,見たこともない人が多くなっている。大企業の企業別労働組合がたいてい労使協調路線をとってストをしなくなっている。スト権投票だけはするみたいだが。
・全面的な時限ストは姿を消し,必要最小限の指名ストが中心になってくると,職場からだれか一人ひっそり抜けた感じであり,あれっ,早退かなとなってしまう。

(4) 出版情報関連ユニオンの組織と運動にみあったストライキの考え方

@意思表示としてのスト権確立

・投票はきちんと行って,スト権は確立したい。そのスト権の位置づけは,現状を認めて次のようになるのでは。
→意思表示が主たる目的であること。ストによって,経営に打撃を与えられるとか,それによって要求が実現すると考えるのは,現実的ではない。
→ストの実施には,当該組合員との事前の相談と合意を前提にすること。とくに,仕事の関係で当該組合員が打撃をうけてしまうことは避ける必要がある。

A短時間の時限スト

・複数の組合員のいる職場では,「意思表示として意味」程度しかないかもしれない短時間のスト(5分,10分とか)を考えてはどうか。労働者や労働組合の負担と損害は,効果に比した範囲で,最小限にすることができる。
・終業前の5分間,全国的に主要組合がストをすれば,形は5分の早退に見えたとしても,理念としてはゼネスト。ユニオンの指令で,一定の数の組合員が終業前の5分間のストに参加すれば,ユニオンの統一ストである,と位置づけることができる。争議への連帯とか,社会的な運動との関係でとらえるスト権行使の際には,短時間でも大きな意味がある。
・指名ストは範囲を限定するので,効果的に実行しやすい。しかし,個人的な活動にならないように配慮と工夫が必要。

(5) ストライキではない,新しい闘い方の工夫と集積を

@要求実現の闘いには多様な闘い方の工夫が先

・ユニオンの組織と運動にみあったストを考えてみると,ストの限界は明白。ストは,労働者にとって「もっとも有効な武器」というわけではない。
・職場ごとの要求の実現をめざす闘いの場合,ストではない,多様な闘い方の工夫が大切。組織や運動を前進させることのできる総合的な力量を向上させていくことが必要。

A過去の闘争ノウハウの整理と確認

・戦術の検討として,とりあえず,これまでの闘争ノウハウの整理,体系化は必要。経営の対応,事案の性質などで様々であるが,個人加盟ユニオンの戦術としてはこういうものがあるという整理があれば,議論に役立つだろう。

B回答や交渉過程の公開と宣伝について

・ユニオン京都では,文英堂と中央図書の回答をHPに掲載し,文英堂は交渉過程も公開している。
・ただし,出版労連のHPでは各組合のうけとった回答の掲載がない。全印総連も,06年春闘の一覧はあったが,07年については掲載がない。各企業の回答は,企業内の秘密ではないはずだが?

(出版ユニオン京都,支部長 吉田明生)
・ユニオン関西支部連絡会(2007.5.12)資料。
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