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  フリーライダーについて(議論の素材)

[1]組合活動の公益性

 労働組合が活動を行うとき,当然ながら自らの組織統制外の人々に対しても,公共的なサービス提供を行っている。しかも,一定の運動を行えば,必ずそれなりの費用がかかる。その費用(金銭的,時間的,その他のコスト)は,現在の組合員の負担による。組織内部(組合員)の利益を追及しつつも,同時に公益的な役割を果たしているので,組織内部(組合員)から,コスト負担の平等を求める声が出てくるのは,避けられない。組織化対象外の善意の第三者が,この問題に気がついて見ていることも,ままある。

[2]フリーライダー(ただ乗りする人)の問題

 労働組合への加入を強制することは,普通はできないので,労働組合員としてのコストを負担しないで便益のみを享受するフリーライダーが出てくるのは,不可避といえる。

→ユニオン・ショップ協定…労働組合への加入を強制。しかし,この協定は,労働者の自主性を阻害。
 自主的に加入してくれることを期待したいが,そうならない。これがフリーライディング。
→なぜ,コストを負担しないで便益のみを享受するフリーライダーが出てくるのか?

[3]フリーライダーを内部化する(非組合員を組織化する)ためのメカニズム

(1)フリーライダーを可視化する(対象範囲を明確にする)。

 人々をより小規模集団に括り出すことができれば,それが可能になる。そのためには,社会的カテゴリーの可視化,すなわち社会的な属性カテゴリーを用いることが有効である。性別,雇用形態,年齢,管理職,エスニシティなどなどの属性,およびそれらの組合せによって可視化される社会的カテゴリーの範囲は,地域社会や全体社会よりも狭く,利害においても等方向的であり,フリーライダーの部分的な内部化,組織化の手がかりをつくりやすい。

(2)小規模集団のなかでの人間関係で内部化し,フリーライディングを抑制する。

…未組織労働者がマスとして存在する地域社会や全体社会は大規模集団なので,そのままの状態で小規模集団における人間関係的影響力は期待できない。ただ,人々をより小規模にくくることのできる集団があれば,話は別である。小規模集団の中の人どうしは,おたがいに監視しあうことにより,フリーライディングを抑制し,内部化することができる。

(3)組織参加に選択的誘因(selective incentive)を与える。

…組合加入のメリットをみえるようにするということ。一定のコストを負担した人だけが,選択的な付加便益が得られるようにする。組合加入ないし活動への貢献をすればそれに見合っただけ利益が大きく(または損失が少なく),そうしないと利益が小さい(または損失が大きい)ことが認知されていれば,組合加入や活動参加への選択的誘因が存在する。
 たとえば労働組合が労使紛争当事者となった(あるいは今後なりうる)労働者にとって頼もしい存在であると一般に知られるようになれば,そのこと自体がフリーライダーに対する選択的誘因となり,組織化の促進効果をもたらす。

(4)組織参加のハードルを下げる。

・組合加入の困難さとは。
 (以下,未完成)
・ユニオン・ショップ協定…労働組合への加入を強制する面と,加入を当然にする面の両面がある。
経営者との協定なので,実現性の問題は,シビア。


[4] 出版ユニオンでの例

(1)債権回収の完了にともなう脱退の問題
 ・共益活動と公益活動の狭間

 労働組合の労働相談は,公益的な活動。
 しかし,行政の行う純粋公益活動とは,異なる。
 なぜなら,コストを負担するのが,行政の場合は税金であるのに,組合の場合は組合員。
 組合員の利益をはかる→組織の拡大がなければ,組合は存続できない。
 組織の拡大は,組合員の利益=共益であると同時に,
 社会問題の解決という意味で社会の利益=公益でもある。

 ・労働組合は,債権回収係ではない。困った人を助ける「相談請負機関」でもない。
  困った人に代わって,問題を解決してあげることでは,決してない。
  労働組合の労働相談の目的は,社会問題を解決する人間を育てること。

 倒産→駆け込み→相談にのる→組合加入→債権回収→組合脱退。
 労働組合の活動は,債権の回収が目的ではなくて,それによって社会問題の解決をめざす人間を育てること。
 助けてもらった人が,次の人を助けるようにならないと(しないと),
 自分の債権を回収したらそれでお終いでは,コストを負担しないフリーライダー。
 自分の債権を回収したいだけなら,無料の行政や司法(完全な公益機関)に頼るべき。
 または,自分でお金を負担して,弁護士に頼む。
 労働組合に依頼する場合は,組合費も払わなければならないが,
 自分が組合に残って次の人を助けることを必須条件にすべき。
 組合の利益と社会の利益の一致。

(以上,議論の素材です)

[3]の(1),(2),(3):参考:大原社会問題研究所雑誌 562/563合併号 2005年9/10月号(10月25日発行)
            社会運動的労働運動論の概念と現状

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