トップBun-Eido @ Working Network>労働基準監督署への申告書(5/17)

労働基準法 違反 申告書



(労働基準法第104条1項に基づく)
2004年5月17日

京都下労働基準監督署長 殿


申告者 600-8691 京都市 南区 上鳥羽 大物町28 出版労連・文英堂労働組合 075-671-3161
     執行委員長 新谷 隆
     副執行委員長 牛田 年彦
     書記長 吉田 明生

違反者 600-8691 京都市 南区 上鳥羽 大物町28 株式会社 文英堂 075-671-3161
     代表取締役会長 益井 欽一
     代表取締役社長(兼東京支社長) 益井 英博
文英堂は,学習参考書や高校教科書の出版社です。


 文英堂労働組合は,株式会社文英堂に対し,2002年4月にも労基法違反を申告しています。2002年春闘の中で,労働組合として会社を追及してきましたが,会社はまったく認めようとしなかったからです。貴労基署の調査のあと,会社は,違反を認めて是正しました。

 今回の違反についても,2004年春闘の中で追及してきましたが,会社には,是正しようとする意図がありません。度重なる違反に対して,その形式的な是正にとどまらず,法令遵守精神についての厳正な指導が期待されます。なお,春闘は,4月16日に終結しております。




労基法違反の事実

一.以下の3点の労働条件が非公開になっており,就業規則に書かれていなくて,職場に周知されていないこと。

(1)自己啓発手当の内容が,非公開であること。
(2)一時金受給資格のない人への一時金「寸志」の支給基準が,非公開であること。
(3)新入社員に対する家賃補助の内容が,成文化されておらず,非公開であること。

  該当条文…第 15条 労働契約締結に際しての労働条件明示義務
          第 89条 就業規則作成・届出義務
          第106条 法令・就業規則などの周知義務

 そもそも,賃金は,直接的な「労働の対償」にとどまらず,労働関係上の地位に対して支払われるものです。社宅貸与なども客観的に利益性のあるものとして,使用者が広い意味で「労働の対償」としているものであり,賃金と捉えるべきです。福利厚生施設の範囲は,なるべく広く解釈するにしても,労働基準局でも,その解釈があまりに広いときは,かえって労働者保護に欠けるとしております。

一.自己啓発手当が,時間外手当の支給基礎に入っていないこと。
(その差額を2年前にさかのぼって支払うようにすること。)

  該当条文…第 37条 割増賃金の基礎となる賃金

一.一時金受給資格のない人への一時金「寸志」は,継続して支払われてきたのに,2003年以降は支払われていないこと。
(支給されなかった2003年以降の分を該当者に支払うこと。)

  該当条文…第 24条 賃金の支払い

 臨時に支給されるものと見られるものであっても,その支給が長期間にわたり前例もしくは慣習として労働者に期待されている場合は,賃金として取り扱われるはずです。これは,労働基準局の通達にあるとおりです。

一.新入社員に対する家賃補助の差額を賃金から控除しているのに労働者代表との協定が結ばれていないこと。
  親睦会費(文英会費),書籍購入費の賃金からの控除についても,協定が結ばれていないこと。


  該当条文…第 24条 賃金の支払い,協定による賃金の一部控除

 労働者代表との書面協定では,包括的に控除の記載をすれば足りるというわけではなく,協定書には,控除の対象となる「具体的な項目」が,記載されているべきです。事理明白なものについてのみ,協定を結んだ上で控除することができるはずです。


一.組合員のAさんの昨2003年11月の組合活動に対する賃金カットが,年を越えた本年,2004年3月に行われたこと。

  該当条文…第 24条 賃金の支払い

 賃金は,全額払いが原則であり,労働基準局長通達でも,ストライキなどのため過払いとなった前月分の賃金を,当月分の賃金で精算する程度しか許されないはずです。最高裁の判例でも,行使の時期につき,「合理的に接着した時期」としています。文英堂では,過去にも同様の問題があり,会社がカットを撤回したことがあります。こういう杜撰な賃金カットをしないように,これまでも組合から会社に指摘してきたのに,いつまでたっても,ルーズなことをしているのは,問題です。
しかも,4か月前のカットをするについて,何の断りもなく,突然,当然の如く行っているのは,承伏しがたいものです。


求める内容

 上記,労基法違反の事実の調査と,違反に対する必要な権限行使。
 以上の結果の,申告者への文書での通知。

以 上

参考資料


以下は,2004年春闘における労使交渉の概要です。

[1] 2004年春闘要求

[要求] 
一.現在,非公開になっている以下の労働条件は,公表し,職場に周知すること。
(1)自己啓発手当の内容。
(2)一時金受給資格のない人への一時金「寸志」の支給基準。
(3)新入社員の家賃補助の内容。


[回答] 
一. 会社の状況及び社会環境を考慮して臨時的に設けたものであり,確定した雇用条件には該当しません。
  従って公表・周知すべきものとは考えておりません。


[労働組合の主張と団体交渉の内容] 

(1)自己啓発手当の内容について

■組合の主張■

・2003年春の初任給が,会社より示されましたが,
その金額は,賃金表に記載されている数字
(大卒初任給は,賃金表の22歳の本人給と職能給3等級のゼロ号の合計のはず)と,
6000円も,合致しませんでした。
実際の初任給の方が高くなっているので,就業規則に記載のない手当が支払われているはず。
こうした点を昨春闘以来,指摘し,公開するように文書などで申し入れてきましたが,
会社がまったく応じなかったので,今春闘では要求にしたものです。

・この6000円は,文英堂の初任給が,京都商工会議所の平均初任給より低かった分を手当にして支給したものであり,
今後,カットしたり廃止することはあり得ない性格のものです。

■団交でのやり取り■
・組合…どういう内容か。いつから支給しているか。

・会社…22歳から24歳の人に支給している。22歳で6000円。詳しいことは言えない。
2001年から支給している。2002年は該当者なし。2003年支給。

・組合…2001年から毎月,支払っているなら,とうてい臨時的なものではない。就
業規則に書いて公開すべき。2002年でも該当者がいれば当然に支給されていたはずで,
すでに固定化された手当である。初任給の補填である以上,臨時というのは当てはまらない。
また,残業手当の支給基礎に入れるべき。

・会社…内容は公開しない。残業の基礎に入れていない。

・組合…社長は「情報は公開する」と言っているのに,秘密主義,杜撰そのもの。
 残業の基礎に入れないと労基法違反。2年前にさかのぼって修正をすべき。



(2)一時金受給資格のない人への一時金「寸志」の支給基準について

■組合の主張■

・4月入社社員に対して,6月の一時金支給日に「金一封」を支給してきたことは,就業規則上の根拠がない。
支給すること自体には異議はないが,その支給のやり方は,就業規則で公開すべき。

・以前は,夏期一時金支給の締め日が,4月20日であったから,
4月入社社員でも,20日間に相当する分は規則上,支給されていた。
しかし,1986年からは,夏期一時金支給の締め日は,3月31日になっている。
4月に入社した人は,就業規則上では,夏期一時金は支給の対象外になっている。

・会社は,「2003年は支給しなかったが,過去には支給していた」と言っているが,
こうしたことから,この一時金「寸志」は,恒常的な手当になっていた。

■団交でのやり取り■
・組合…成文化して,公開すべき。いつから支払っているのか。

・会社…平成にはいってから支払っている。
昭和63(1988)年とか昭和61(1986)年の人ももらったかもしれない。
過去の賃金台帳は見ていないので,分からない。

・組合…長く支給されてきたのなら,すでに既得権益のようなもので,
2003年に突然,支給しなかったのは,かえって不当。
2003年以降の分で,該当者には支払うべきだ。



(3)新入社員の家賃補助の内容について

■組合の主張■

・成文化されていないのは,問題。成文化して,公開すべき。

・また,家賃を賃金から天引きする場合は,その旨の協定が必要。

■団交でのやり取り■
・組合…会社の指定した公団住宅以外のところに入ったらどうなるのか。

・会社…東京支社では,新入社員で,会社の指定以外のところに入った人がいる。
しかし,会社の指定したところに入った人と同じに,1年目は2分の1,2年目は3分の1の家賃分を補助している。
あまり高いのは困るので,場所は話し合いによっている。

・組合…会社の指定したところに入らなくても支給しているのだから,福利厚生ではなくて,賃金のはず。

・組合…家賃を賃金から天引きするには,労働者代表との協定が必要。協定はあるのか。

・会社…現在の賃金規定に,「次に掲げるものは支給金額から控除する」(第5条)とあって,
その中に 「8.その他,財形貯蓄等,会社の定めによるもの」と書いてある。
問題になっている家賃の控除は,この8項の「その他」に該当する。
この賃金規定はすでに労働者代表の意見書とともに労基署に届出ているので,
改めて労働者代表との協定は必要がない。
したがって,新たな協定を結ぶことはしない。

・組合…納得できない。これまでの団交で会社は,「まだ,結んでいないが,これから結ぶ」と言っていたではないか。

・会社…それは,撤回する。

・組合…では,同第5条の7項「文英会費」(文英会とは親睦会のこと)についても,控除の協定はあるのか,ないのか。

・会社…それは,分からない。

・組合…親睦会費,書籍の購入費など,賃金から控除するものは,労働者代表との書面で協定が必要のはず。
すべて,確認するように。

・会社…すでに賃金規定に「控除する」と書いてあるので,その必要はない。



[2] 組合員への賃金カットについて

 組合員のAさんに対する昨年11月分の賃金カットが,
何の事前の説明もなく突然に,年をまたいだ本年,3月25日に行われた。

  [↓3/25の賃金カット明細]
  11月14日…2時間10分… 6,523円→問題のカット。カットするならば,12月に行われるはず。
  11月21日…     30分… 1,505円→問題のカット。カットするならば,12月に行われるはず。
   2月17日… 7時間10分…21,485円

■団交でのやり取り■
・組合…本来の3月分としての賃金が一部,払われていないことになるので,納得できない。

・会社…「ノーワーク,ノーペイ」が原則。

・組合…11月の時間内組合活動に対して,12月にカットするならば,それは仕方がないが,
年を越えた3月のカットは承伏できない。2003年の源泉徴収にも関わってくる。

・組合…過去にも同様の問題があった。
支社では,過去に別の組合員で同様の例があり,会社がカットを撤回したことがある。
こういう杜撰なことをしないように,指摘してきたはずだ。
いつまでたっても,ルーズなことをしているのは,許されない。



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