2部 記述欄に記された意見や思い

 記述欄には、アンケートそのものに対する意見、セクハラを生み出す企業風土や意識について、セクハラの定義について、対策を求める声、セクハラの具体的被害について、出版物の内容について、など、実に様々な角度から意見や思いが寄せられました。

 以下に意見の中から抜粋をし、現時点で女性会議からお答えできることを記していきます。

【被害者に対するもの】
セクハラの被害者にもスキがあった、というように被害者をさらに傷つけるようなことがよく言われる。人のいやがることをする側が悪い、という被害者の人権を守る立場で防止策を作成してほしい。
セクハラの被害を受けた女性が怒ることで、その女性を「けむったい」「怖い」などとして、あたかも問題は、その女性にあるように責任転嫁をする傾向がある。周囲のサポート、加害者を許さない態度の育成が必要。
被害を受けた側が不利な状況におかれたり、我慢を強いられることのないように、受け皿を作る必要がある。

→ 被害者の周囲の環境や被害者をサポートしようという周囲の意識が、依然として不十分であることがうきぼりになりました。職場環境の問題として、個々の労働者が意識を高め、行動することが大切です。被害者を孤立させない、そして加害者には厳しく対応する態度こそが、被害者、加害者を減らしていくのではないかと考えます。寄せられた意見の中で、「自分は被害には合わない」という同性(女性)の無関心、無理解が、加害者を助長させている、という声や、「セクハラの被害者は女性だけではない」(男性)、という声もありました。

 組合独自の対策、事業主に課せられた対策窓口を作ることも早急に必要なことですが、組合内に相談を受け止める場がない場合や、相談することが躊躇される場合は、巻末に相談窓口、医療、法律相談窓口を記載しました。参考にしてください。

【セクハラの内容(経験・または目撃した)についての記述から】
(女性から出された意見)

■体にさわる、抱きつく
■差別的発言
■「キスするぞ」、といわれた
■性的関係についてうわさをながす
■仕事を取引条件にして性関係をせまる

■発言や態度にあきらかに女性であることを理由に見下したものがあった
■女性には責任ある仕事はできない、ということばの暴力
■子どもを産む、産まないの話題をデリカシーのない言い方で言われる。
■30台後半の女性に、「見合いをするの」「次の結婚はあなただね」
■職場に「若い女の子」が増えました、という表現 ・容姿の優劣を言う

■性交渉をせまる
■視姦(ジロジロ見る)
■結婚しないのか、と聞かれる
■「結婚した女はこの職場にはいらない」と言われた
■「子持ちの女は半人前」と言われた

■女性は出産したら、男性と同等には働けない、というようなことを言われた
■男性が年下の女性を「おまえ」呼ばわりした
■女性が職場で安住しているような意味をこめて「お茶くみがなくなって一番困るのは女性なんじゃないの」と言う
■女性の上司が「だから男はだめ」と公言する
■「子どもを産んだ女は鮭が卵を産むとおいしくなくなるのと同じように価値がさがる」

■「お化粧ののりがよくない」「遊びすぎだろう」
■わいせつな写真やものを机の引き出しに入れられる
■「俺は女は認めない。女は腹をくくっていない」と管理職に言われる。「そういう言われ方はされたくありません」と言ってもやめない。加害者に対する侮蔑の気持ちでいっぱいになった。

■「著者は男が多いのだから、女の編集者の方が得だ、女を利用すればいいじゃないか」、と性を利用して仕事をするように言われ、自分の仕事を侮辱された。
■男性のスケジュールを優先させる。仕事の失敗があると、関係ないのに尻拭いさせられる
■独身でいたり、子どもをもって働いていると嫌味をいわれる
■恋人や結婚のことをしつこく聞き、プライベートなことに干渉する

■産休や、育児時短について嫌味を言われる
■仕事以外の時間帯の飲み会への強い誘い
■ストーカー的行為
■会議の延長の飲み会で酌を強要される

■社員旅行に、「若い女の子がいないとさびしい」と参加を促す。行っても温泉宿の飲み会が主である。男性は、たとえば、アロマテラピーとエステの旅行に行くことを女性たちから「強く促された」らどう思うか。相手の立場になってみてはどうか。IBMは、女性100人の中に男性ひとりを置いて、女性の立場を理解する研修をしている。女性はいつも、男性の中に1割にも満たない数で存在し、仕事をして、しかも軽く見られている。その状況を想像するべきだ (男性から出された意見)

■結婚する、しない、の質問
■飲酒相手を強要する
■「太っているね」
■「年取ったなあ」、といわれた
■トイレまで追いかけた

■早く結婚しろ、みたいな発言
■体型、未婚
■「男の人はだめ」と何かにつけて言う
■体を触る
■2度目の育児休暇をとったときの嫌味

■「体で払え」といっているのを聞いた。職場でいうべきことばではない。
■泊まりの出張をセッティングする
■社内結婚をした人に、女性の方に退職しろ、と会社役員が遠まわしに言った
■ことばによるセクハラ
■自宅に頻繁に電話。押しかける。

■役員からのことばによる嫌がらせ
■言えないようなことば
■飲み会に無理やり誘う
■女性は仕事をこうすべき、発言
■「○○さんはもてるからな」などと男性が女性に言っていた
■「彼いるの?」
■冗談にみせかけた性的会話

→ 以上は女性、男性ともに、職場で経験したり、目撃したセクハラの内容の一部です。  ことばによる暴力、体への接触、性的関係をせまる、職場の立場の権力関係を利用したもの、結婚や子どものことについて干渉したり、そのことで業務上差別すること、性別によって、仕事を差別するような発言や齢によって人を貶めること(若くても、年配でも)など、ほかにもさまざまな種類、程度のセクハラがあることが確認されました。

【セクシュアルハラスメントの定義に関する記述から】

■「性的嫌がらせ」をどの程度のものと受け止めていいか、わからない
■どこからをセクハラと捉えるか、人・状況によって違うのでわからない。ただ、あまりにも自覚のない男性がはびこっている。
■ことばの暴力は、受け止める側の受容範囲で許諾が変わってくる、発している人たちはそれが不快に思われると思っていないので、被害の認知をうながしてほしい

→ セクハラとはなにか、どんなことをいうのか、とまどわれた方も多かったようです。それだけ、問題が共有されていない、ということを感じました。法制化されている文書を会社に配布することを要求された方もいらしたようですが、何も対処されなかったようです。  共通認識を高めるのが、被害者、加害者をつくらない第一歩です。末尾の男女雇用機会均等法第21条をご覧ください。

【セクシュアル・ハラスメントを生み出す企業(組合)風土・体質に関する記述から】

■「女性部」と聞いただけで馬鹿にする組合幹部の男性がいる。
■結婚したとたん、「妊娠しないで。仕事が困るから」と同僚の女性にいわれた。
■言葉の暴力について、言葉で商売をする我々が無頓着である。
■共働きで子育てに積極的に参加する男性を管理職は「育児で配慮すべき人」とみていない。男女関係なく権利は権利としないと、これも「セクハラ」である。
■男女雇用機会均等法があっても、女性への採用差別がある。公然と「女性はとらない」と言っているらしい。罰則が必要だ。
■女性の管理職がいない。
■査定・昇進に明らかに女性差別があるのは最大の「セクハラ」だ。組合=日本の労働界はそのことに少しも積極的でなかった。
■「家事をする男」に屈折した悪意を持つ男性がいる。そういったことが、男性の育児休暇の取得を妨げているのでは?
■営業部が男女分業体制である。なぜ、性別で分ける必要があるのか。

→ このほか、「家庭内では、職場よりもっと性差別があるのではないか」、というように私たちの背景にある社会についても、セクハラへの影響を指摘する声もありました。ひとりひとりの中にある意識を検証することが必要だと思います。組合内部の意識を指摘する声も多く寄せられました。(均等法が改正されたのに、組合で何ら学習会も対策もなされていないというのは、女性労働者が軽視されている、ということを示しているともいえます。)

【対策を望む声】
■会社が社員に対して、明確に説明なり、教育をした方がよい。説明会でもよい。パンフレットなどの資料を配ることなど。法的な内容なのだからきっちりやるべき。
■出版労連で(被害者の側に立った)苦情相談窓口をもってほしい。
■「会社が説明会を持った」などと言わせておかないで、労働組合が主導権を握り、労働者の立場に立って「セクハラ防止」について早急に要求していくべきだ。
■セクハラ防止には、ジェンダー教育が有効だと思う。
■性差別のある制度は変えなければならない。人権の視点(広く「社会的少数者」の権利)が必要。

→ 学習会の開催、相談窓口の開設、ガイドラインの作成などの対策をすることが、均等法で事業主に義務づけられました。対策が講じられていない会社には、対策を要求していく取り組みが必要です。しかし、被害者の方はそれまで「待つ」「我慢する」必要はありません。現存する相談窓口をリストアップしました。もし、不安があるようでしたら、女性会議のメンバーに一声ご連絡をください。


アンケートを終えて

 今回は、本当にたくさんの方々がアンケートに協力してくださいました。被害に遭われた方にとっては、アンケートに答えること、セクハラのことばを聞くことすら、辛いことです。しかし、あえてこのアンケートを実施させていただきました。このアンケートの集約を通して、多くの人の怒りやいらだちや辛い気持ちが伝わってきました。

 この集約では紙面の制約もあり、不十分なところもあるかと思いますが、今後、情報を発信していきたいと思います。ひとりひとりの方が、性別に関係なく、セクシュアルハラスメントを自分の問題として受けとめてくださることを心から願っています。ご協力をいただきありがとうございました。


【資料】
男女雇用機会均等法(改正)第21条

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮)
第21条
 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。
2 労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が配慮すべき事項についての指針を定めるものとする。

相談窓口一覧

◎厚生労働省各都道府県の労働局雇用均等室(旧労働省女性少年室)
(関東・関西の一部を掲載します。)

東 京   03-3818-8408
神奈川   045-211-7380
千 葉   043-221-2307
埼 玉   048-822-4273
大 阪   06-6941-8940
京 都   075-241-0504

◎各地の労政事務所<受付時間:月〜金 9時〜17時>
(セクシュアルハラスメントのほか、労働問題全般にわたっていつでも相談に応じます。また、資料の提供・貸し出しも行っています。)
■中央 TEL 03-5543-6110(管轄地域:千代田区、中央区、文京区、台東区、島しょ)
■品川 TEL 03-3776-6110(管轄地域:品川区、港区、大田区)
■渋谷 TEL 03-3770-6110(管轄地域:渋谷区、目黒区、世田谷区)
■新宿 TEL 03-3203-6110(管轄地域:新宿区、中野区、杉並区、豊島区、板橋区、練馬区)
■王子 TEL 03-3900-6110(管轄地域:北区、足立区、荒川区)
■亀戸 TEL 03-3637-6110(管轄地域:墨田区、江東区、江戸川区、葛飾区)
■三鷹 TEL 0422-47-6110(管轄地域:三鷹市、武蔵野市、小金井市、調布市、東村山市、田無市、保谷市、清瀬市、東久留米市、狛江市)
■立川 TEL 042-525-6110(管轄地域:立川市、府中市、小平市、昭島市、青梅市、国分寺市、国立市、武蔵村山市、東大和市、福生市、羽村市、あきる野市、西多摩郡)
■八王子 TEL 0426-45-6110(管轄地域:八王子市、町田市、日野市、稲城市、多摩市)
■町田出張労働相談所 TEL 0427-26-1394(毎週火・木・金 金曜日は午前中のみ)

◎被害に遭われた方の心身のために
■東京フェミニストセラピーセンター
(心身の回復のためのカウンセリング・医師、弁護士などとの専門的ネットワーク)
TEL/FAX 03-5608-0127(10:00〜19:00日祝休)

■フェミニストカウンセリング堺/関西フェミニストカウンセラー協会
TEL 0722-24-0663 FAX 0722-24-0979
(フェミニストカウンセリングとは、ジェンダーの視点に立った「女性のための女性による」カウンセリングです。フェミニストカウンセリングでは、様々な女性の心理的問題に取り組んでいますが、特に性暴力・セクシュアルハラスメントの被害者への心理的サポートと同時に、医者や弁護士などとの専門的なネットワークを作り、より総合的、効果的なサポートを実践しています。)

出版労連女性会議連絡先 労連本部 03-3816-2911


1部 アンケート結果

T   考え方
U−1 ことばによるセクハラ
U−2 接触によるいやがらせ
U−3 他の人に対するいやがらせ

2部 記述欄に記された意見や思い